なんて身勝手な願い
繋ぎ留めておくことは可能なのか。男の意識が自分には向いていないのだと知った日から、女はそのことばかりを考えていた。
多くを望んではいけないと言い聞かせた。傍にいられるだけでいいと嘯いた。
本心から血が流れているのは知っていた。自ら抉った傷だった。
それでもいつか報われるものだと盲信していたのだった。
――歌待 風鈴
ずっとそばにいて
だから嫌だったんだ。
広く空いた左隣に目を向けた。冷たい風が吹き抜けた。容赦なく僕だけを刺した。
さらさらと泳ぐ黒髪を思い出した。
今どこにいるの?
君に似た香りを抱きとめようとも触れられなくて。
僕はまた誰にも聞こえないくらいの小ささで呟くしかないんだ。――もう何処にも行かないで、と。
――贔宮 緑
自惚れないで
些細な口喧嘩が始まる。少しからかっただけなのに簡単に血が上る。自分が正しい!と真っ向からぶつかってくる。
だから赤い布で闘牛をかわすように、わざと隙を狙ってはぐらかす。
「そんないつも蓮のこと見てるわけじゃないんだからさあ」
ほんの一瞬、傷ついた表情をしたのはオレだけが知っている。
――深渓 久耀
嘘、だったりして
今日はどこへ行こうか、と彼女と手を繋ぐとき。友人とくだらない冗談を言い合って笑うとき。
胸の奥がじんわりと解れていって。
1日が終わり、布団に潜って微睡むとき。ゆっくりと温かい想いを噛みしめる。
だからこそ時々、突然気づかされる現実の心許なさに肌が粟立つ。
僕の生きている世界は――。
――亜加月 涼
愛してるも力不足
やっと出逢えた。アタクシでも、いいよ。と言ってくれる人に。
貴方の側に居ていいの? 抱きついたら折れちゃわないかしら。並んで歩いたら、きっと不恰好。
自信が持てないから貴方への信頼が揺らいでしまう。
切れ長の静かな瞳をずっと見つめていたい。けれどこんなアタクシを見つめてほしくはないの。
――夕張 萌論
Twitterでフォロワーさんからいただいたお題集です。随時増えていく予定。
上の文章が一番新しく、下に行くにつれて古くなります。サイトでは見やすいように改行増やしてます。
お題は『140文字で書くお題ったー』で診断しました。
オリキャラ全員分書きたい気もするので、いずれ自分でも診断して書いていくかもです。
背景画像提供→空に咲く花/なつる様...
Linkよりサイトに飛べますので是非!
15/04/10