空蝉

そんな壺の中でがらくたになって そんな土の中でうずくまって
焼かれるのはさぞ 痛かったろうに

紙ヒコーキにして投げ飛ばす
私の知らない言語で書かれた
こんな紙 いらないんだよ

翅の無い君の飛び方は
字と一緒でへたくそだったね

置きざりにされた ぶかぶかな靴を履いて迎えにいく
いつになったら出てくるの
ねえ はやく 出てきてよ

水をあげたら
芽吹いた一輪
生えてきたのは
君じゃなかった

地面に耳を澄ませば ほら
脈打つ心臓が


ここにいるんだね


掘り返したら
出てきた残骸
こんな白いのは
君じゃないんだ


想いだけが羽化した
透明な殻を背中から破って
想いだけが 強く

綺麗な翅をつけて出てくるんでしょ

そしたらこの汚い空でも
今度こそ飛んでみせて


12/02/18