延命治療

ぐーたらな毎日が 積み重なって飽和
四角に切り抜かれた空 ここは広い病院

通い続けて早9年 僕を貫く激痛が
「宣告します」
僕の余命は後3年

こんな弱体 動かすのもだるい
「そろそろいいかなあ」
騙しだましで
今日も楽しい 明日もたのしい

口は反対を言った
「もしかしたらまだ希望が」
つぎ込まれた大金
僕の余命は後3年

新しい病院 顔見知りがちらほらと
前よりは割と心地良い

投与された薬 副作用が激しくて
僕には合わないみたい
病原体が僕を蝕み
じわじわ じわじわと
今では君の笑顔も真っ黒に

治る見込みは どうやら無いようです

「早く決めなきゃなあ」
毎日寝たって起きたって
結局今日も明日も同じ

口は反対を言った
「まだ生きてみたいんです」
飛んでいく大金
引き延ばされてもう4年

新しい病院 知り合いはいない
今度こそ 今度こそ
未だに縋りつく盲人

気付かぬうちに後ろに立たれた
人差し指が伸びて 伸びて
背骨に突き刺さる
長い爪が感情ごと抉って
日を経るごとに何本も増えていく


棘だらけになって生きる意味は ?


今日もあてがわれる呼吸器
これは 僕は
まだ人間ですか


12/02/18